本日テレビで手賀沼近くに生息するコブハクチョウの話が放送されていました。
千葉県柏市の手賀沼付近で田植えを終えたばかりの稲を食い荒らし、この被害が拡大しているといいます。
コブハクチョウが稲を豪快に食べている映像は、とてもショッキングなものでした。
こんなのが増えたら稲はそのうちなくなってしまうのではないか?
ただでさえ今年は日照時間が少なくて稲の生育が心配されているというのに農家の方にとっては本当に気の毒な話です。
でもちょっと待ってください!
そもそもハクチョウは冬に日本にやってくる渡り鳥じゃなかったでしたっけ?
春になると北に戻っていくはずですよね。
この時期に日本にいて稲を食い荒らすなんていったいどういうことなんでしょう?
またまたモヤッと感が湧いてきたので今回もサクッと調べてみることにしました。
コブハクチョウとはどんな鳥なのか
- 生息地 ヨーロッパから中央アジア
- 体長 約160センチ
- 餌 水藻、水生植物の柔らかい茎や根茎、魚、水生昆虫も食べる雑食性
- 性格 縄張り意識が強い
- 世界各地に移入されている
- 日本には1953年に移入された
コブハクチョウは魚も食べるのですね。
勝手に藻を食べているイメージを持っていました。
ここに記載したかったのですがちょっとためらったものがあります。
それはコブハクチョウの『寿命』です。
調べてみてもバラバラです。
こんなところがネットの信用できないところですね。
あるサイトでは6~7年、またあるサイトでは20年、さらに別のサイトでは30~40年・・・なんだかなあ~と思います。
ちなみに飼育下では102年生きた記録があるそうです。(これもなんかちょっと胡散臭いですが^^;)
それを考えると野生種でも6~7年の寿命というのは短すぎる気がします。
僕はとある士業の事務所で働いていた時に、調べ物でネットを使うことがたまにあったのですが、これがもう胡散臭い内容のものがたくさんありまして^^;
中には明らかに間違っている内容を堂々と掲載しているサイトもありました。
それ以来、原則役所のHPや専門書を確認するようにしていました。
ちょっと話は脱線しましたが、インターネットは瞬時に欲しい情報が手に入りますが、信憑性を疑ってかかることも重要です。
というわけで寿命については引き続き調べて正しい情報が分かり次第リライトしたいと思います。
コブハクチョウは外来種
コブハクチョウは1953年に皇居外苑の堀に放たれました。
当時、東京動物園協会の「ハクチョウをお濠に放つ会」が中心となってドイツのハーゲンベック動物園と上野動物園から寄贈されました。
ハーゲンベック動物園から9羽、上野動物園から15羽の計24羽が放たれたのが最初のようです。
このようにコブハクチョウは実は外来種なんです。
稀に渡り鳥のコブハクチョウが迷い込んできたこともあるようですが、現在日本に住み着いているコブハクチョウは、ほとんどが移入されたものが増えたものだそうです。
移入は日本だけにとどまらず、オーストラリアやアフリカ、アメリカなど広く世界中で行われています。
コブハクチョウは渡りをしない
日本に移入されたコブハクチョウは渡りをせずに一年中日本に住み着いています。
そういえば皇居のコブハクチョウっていつもいますね。
下の写真は2019年7月25日に皇居のお堀で撮影してきたものです。
皇居のお堀を眺めてみるといましたいました。
仲睦まじくゆったりと泳いでいました。
遠かったため写真が汚くてすいませんm(__)m
こちらは皇居のお堀の別の場所で撮影したものです。
(こちらも画像が汚くてすいません。)
皇居のお堀では現在8羽が生活しているそうです。
ここまで見てきてコブハクチョウは冬の渡り鳥であるオオハクチョウやコハクチョウとは異質な存在であることが分かります。
見た目はとてもよく似ているんですけどね。
外来種というと急激に数を増やして環境に悪影響を与えるようなイメージしかないですよね。
コブハクチョウもここにきていろいろと問題となっているようです。
冒頭の手賀沼付近の稲を食い荒らしているほか、霞ヶ浦では名産品のレンコンにも被害が出ているそうです。
他でも数か所で被害が懸念されているところがありました。
各地で数が増えているようですので今後次々に問題が顕在化していくかもしれません。
コブハクチョウを捕獲することは法律で禁止
このあたりはいつもモヤッとします。
元々外来種でコイやブラックバスなどは駆除を行っても良いのに、なぜコブハクチョウは禁止されているのかよく分かりません。
被害が大きくなる前になんとかできると良いのですが。
アンデルセン童話『みにくいアヒルの子』はコブハクチョウ?
コブハクチョウを調べていると興味深い話がありました。
皆さんご存知のアンデルセン童話『みにくいアヒルの子』
アヒルの子供の中に1羽だけ体の黒い子がいてみんなからいじめられていましたが、大きくなったら実は美しいハクチョウだったというお話。
このハクチョウが実は今回問題になっているコブハクチョウだというのです。
『みにくいアヒルの子』の著者アンデルセンはデンマークの作家です。
そもそもデンマークにコブハクチョウがいるのかなと思って調べてみると、なんとコブハクチョウはデンマークの国鳥に指定されているではありませんか!
デンマークの『みにくいアヒルの子』の絵本を見てみたところ確かにコブがありました。
みにくいアヒルの子のモデルとなったハクチョウはコブハクチョウと言われていますが、これは間違いなさそうですね。
ちなみにデンマークの国鳥はコブハクチョウですが、日本の国鳥ってご存知でしょうか?
スズメ? ハト? トンビ?
正解はキジです。
終わりに
今回はコブハクチョウを調べてみました。
渡りをせず一年中日本で生活している外来種のハクチョウがいることをはじめて知りました。
コブハクチョウは着実に数を増やしているようですので、今後何らかの対策が必要になるかもしれませんね。
被害の映像を見て農家の方々の苦しみを思うと早急に何らかの対策を講ずるべきだと思いました。
また今回のニュースを見てもっとも気になったのは餌をあげる人がいること。
『ハクチョウに餌をあげないでください』という立て看板があるにもかかわらず、それを無視して餌をあげていました。
インタビューでは「何十年も前からずっと餌をあげているから」と話していました。
餌をねだって近寄ってくるハクチョウはかわいいし、餌を食べている姿を見ると愛おしく感じられるでしょう。
それは十分理解できるのですが、状況が以前とはだいぶ変わってきていることもしっかり認識していただけるといいのになあと感じます。